颯爽デイズ

□駄目元の交渉
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「ま…待って下さいよツナさん!話が違うじゃないですか!!」

「煩ぇぞ。でかい声を出すな」

「何この超理不尽!」



因みに今私に暴言を吐き銃口を向けてきたのはリボーンさんだ。
ツナさんはというと少し困った顔で私を見ている。いや待てよ困った顔したいのは寧ろこっちなんですけど!?



「だってツナさんは会社の厨房で働かせるために私を連れてきてくれたんじゃないんですか…!?」

「職場、とは言ったけどね」

「うっ…で…でも!そんないくらなんでもマフィアとか知りませんよ!!そんなの無理です!!」

「でもマスターは快く俺に陽呂ちゃんを預けてくれたじゃない?」

「おじさん達はツナさんがマフィアだなんて知らないんでしょ!?」

「この辺りに住んでてツナの顔と立場を知らねェ馬鹿はいねェよ。分かったか馬鹿」

「だから私今日初めてイタリアに来たって言ってるじゃないですか…!」



その黒い帽子から私を見下す目。
怖い…けど腹立つ!ものすごい腹立つ!しかし強く言い返せない自分に首を垂れる。

…だって怖いじゃん。相手銃持ってるんだよ?普通に考えたらおかしい事なんだよ?日本で言ったら銃刀法違反なんだよ?

そんな人間を前に立ってられるだけでも讃えてほしいぐらいだわまったく。





「でもねぇ…もう連れてきちゃったし。ねぇ陽呂ちゃん」

「…帰りたいです」

「だーめ。そんな事俺が許すとでも?ん?俺がそんな優しい人間に見える?」

「見えます見えますツナさんはきっと嫌がる人間を拉致するような人なんかじゃないって一目で分かります!」

「そっか…じゃあそれは陽呂ちゃんの目が節穴だったって事だね」

「いやいやいやちょっとツナさん…え?…本気?」

「俺はいつだって本気だよ。…リボーン、決めたからな」

「ったく…お前がちゃんと躾しろよ」

「良かったね陽呂ちゃん!リボーンからも許しがもらえた!」

「良くねぇよ!何勝手に話進めてんですか!私帰りたいって言ってるじゃないですか!」

「だからそれは却下だって」

「何で!?そのジャイアニズムが通用すると思いこんでいる根拠は一体何ですか!?」





スーツを纏う姿が様になり過ぎてる男が3人。


1人は事の重大さが分かっているんだか分かってないんだか知らないけどさっきから笑顔を絶やさない山本さん。

1人は黒い帽子がより圧力を感じさせるどうやら凄腕ヒットマンらしいリボーンさん。


そして。



私をここに連れてきた張本人は、私の問いに少しも躊躇いなく、はっきりと答えた。








「俺が、マフィアだから」




一般人である私の脳内では処理しきれない訳の分からない自信を背に、ツナさんは清々しい程に眩しい笑顔を見せた。



この時点で、取り敢えず私は戦意を喪失する事になる。






(もう嫌だ…イタリア怖い…)
(まぁなー治安は良いとは言えないしなー!)

(山本さん、そういう事を言ってんじゃないんです私は…)
(ん?そうなのか?)
(……)



<08‐駄目元の交渉‐> Fin.

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