颯爽デイズ
□向かう先は
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沢田さん所有のリムジンに揺られる事10分程。私は予想だにしなかった急展開に何とか頭を追いつかせようとして必死だった。
…まぁ割かし私の思考回路は残念な方だから(自分で言っちゃったよ)直ぐに理解出来る訳もないんですがね、えぇ。
『っていうか沢田さん…いや沢田様』
「どうしちゃったのその呼び方?沢田さんでいいのに…あ、でもこれから同じ職場で働くんだから綱吉って呼んでもいいよ?」
『滅相もございません沢田様。いいえ沢田殿!!』
「(殿…?)まぁ呼び捨てが嫌ならツナとか」
『ですから!結構です沢田大統領!!』
「それは違くない?…ま、いいけどさ。じゃあせめてツナさんは?」
『…ツナさん…?』
「そう、ツナさん。これならまだ呼び易いんじゃない?」
『…はい、じゃあ、ツナさんで』
「よし。いい子だ」
そう言ってよしよしと私の頭を撫でる沢田大統領もといツナさん。
あれ。私多分もう成人してたよね。成人式終わらせたよね。何故こんなイケメンさんに頭撫でられてるんだろう。っていうか絶対ツナさん私と年齢近いよね。
アレかな、いつまで経ってもモテ期が到来しない私に神様がくれたつかの間のプレゼントかな。
「面白い事考えるね陽呂ちゃん」
『すみません私今脳内で自己処理したつもりなんですけど』
「俺には聞こえたよ?陽呂ちゃんの心の叫び」
『や、別に叫びって程の事じゃ…』
ちらりと隣を見ると座っているのはやはり黒いストライプのスーツがよくお似合いの沢田綱吉さん。
長い足を優雅に組んじゃってまぁそれはそれは絵になる…
『って違ぇよ!そうじゃない!ツナさん私はいきなり何処に連れて行かれるのでしょうそして貴方のご職業は何なのでしょうってかツナさんお偉いさんですかもしや!若社長ですか!?』
いきなり大声を張り上げた私に運転手さんの方が跳ねたのが分かったけどごめん今そんなの気にしてる場合じゃない!
「若社長ね…まぁあながち間違いではない…かな?うん」
『曖昧ィイ!?何故!何故そこを曖昧にしますか!?』
「ほら、そんなのいずれ分かる訳だし今焦って話さなくても、ね?」
『いやいやだって先ず話をする為に車に移動したんですよね!?乗り込んだ瞬間発車て!発車てあなた!』
「ちょっと落ち着こうか陽呂ちゃん。いきなりで動揺してるんだろ?そんな時はトランプタワーでも作って精神落ち着かせようよ」
『走行中の車の中でトランプタワーなんぞ作れるかァ!!』
「平気、このリムジン走行中の揺れ抑える造りになってるから」
『あ、まじだー…ってんな事どうでもいいわ!トランプどうでもいいわ!!』
「わぁ、ノリツッコミ!」
『ちょ、会話になってないしもうやだ挫けそう』
始終にこやかな笑顔を向けてくるツナさんに若干疲れを感じた頃、静かにリムジンが止まった。ようだ。
…ほら、揺れ少ない車だから止まったかどうかすぐには分からなかったけど。
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