短編

□望んでいたのと違う。
1ページ/1ページ

『えー、いきなりこんなこと手紙にしてごめんなさい。
だけど目をあわしたら絶対にいえないようなことなので手紙にしました。
途中で捨てたりしないで、最後まで読んでくれると嬉しいです。

おれは如月さんと同じクラスになれて隣の席になれて毎日が楽しいです。
部活行くまでの時間とか、すっごく大事にしたいほどです。
あー、こんなこと書いてごめんなさい。だけどちゃんと読んでください。

おれは如月さんのことが好きでした。あ、違うなこれじゃ過去形だ。
現在進行形で好きです。すっげー好きです。きっとフラれても好きでいられます。
未来栄光君が好きです。
手紙じゃなきゃ言えないようなへタレですけど、こんなおれでよかったら返事ください。』

「……近藤遼より」

久しぶりに君から貰った手紙を開いたよ。
目の前で音読してるけど、きっと君は顔を真っ赤にして手紙を取ろうとするんだろうな。
ねぇ、聞こえてる?私の声。
覚えてる?ちゃんと私は自分の言葉で君に返事を言って、そのときの君の顔。
林檎みたいな真っ赤な顔ですっごい笑顔で「ヨッシャーッ!」って喜んでたね。

「ねぇ、」
「……」

君は答えない。

「ねぇ、今でも私のこと好き?」
「……」

きみは答えない。

「今でも私のこと好き?」
「……」

墓石は答えない。

こんな結末て。
(返事した意味ないじゃない。どうして居なくなっの。)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ