短編

□人魚姫
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「マジでありえなくね?ちょっと喋っただけだぜ?」



何時ものようにあたしを呼んで、彼女と喧嘩した。と愚痴を言ってくる男。
今回の喧嘩の内容は浮気と勘違いされたこと。
そうか、彼女は独占欲が強いのかなんて思いながらあたしは話を聞いて苦笑する。



「なぁ、どう思う?」
「んー。彼女の気持ちも分かるなぁ。あんたモテるし、心配だし、嫉妬だってするでしょ?」



それに罪な男だし。
彼女よりあたしのほうが付き合い長いのにね。こっちが嫉妬するよ。
何てあたしの思いも通じるはずなく、ヘラヘラ笑って彼は言った。



「やっぱ桜は便りになるなぁ。ど?俺の愛人になんね?」
「……冗談。あたしはあんたみたいな男嫌いよ。ほら!また勘違いされる前に帰んな」
「やっぱりつれないか……」



何て言ってじゃーな!と手を振り帰って行く彼を見届ける。
嗚呼、あたしも泡になれたら良いのに。












*現代人魚
(だけどあたしは人魚姫じゃない)

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