□特別だよ?
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「で〜…、つまり…これはガルシャア?」
「そ。そーいうこと」
「ガルル…!!」

いつもより、まさに機嫌の悪さが頂点のガルシャア。それもその筈だ。

「ふ…ふふっ、まさかワクチンで犬になるなんて…!」
「犬じゃねぇ!!俺は狼だッ!!」
「そんな細かいことはいいよ。どちらも犬科の動物じゃないか」

サリューは腰丈まである犬(本人は狼だと言ってるが、見た目はどう見ても犬である)のガルシャアをジーッと見つめ口角を上げる。

「ふーん、確かに目付きの悪さといい体毛の剛毛といいガルシャアって感じがするね。でも、なかなか可愛いじゃないか。ね、ちょっとの間だけボクのペットにならない?」
「はぁぁ?!な、なんで俺が…!」
「いいじゃない。別に首輪かけてドックフード与えるわけじゃないし。ペット、飼ってみたかったし!」

ギュッと抱き締めてフワフワとした毛並みに顔を埋めるサリューに、ガルシャアは戸惑っているようだが本心では嬉しいことが分かってしまう。

「ガルシャア、尻尾振ってる」
「噛みちぎるぞヴァンフェニー!!」

ふふふと笑った後、サリューは鼻先に口付けして尋ねる。上目遣いに頬を染めながら。

「ね、人間に戻るまで。おねがい、ガ・ル・シャ・ア?」
「……………。」

好意を寄せる相手が、ここまで頼んで断る男がいるだろうか。例え好意がないにせよ、サリューはすれ違う人が全員振り返るであろうカリスマ性と独特の可愛さを持っている。好意がなくても興味を引くために誰もが頷くだろう。
もちろん、ガルシャアとて例外ではない。

「も、戻るまで…だったら…」
「ふふん、決まりだね!早速散歩行こうよ!ねぇヴァンフェニー、どこか良い公園知らない?」
「少し遠いけど、犬の散歩をさせる人が多い公園知ってるよ。一緒に行こう」
「散歩デートのつもり?本当にロマンチストだよね」
「女の子なら、やたら現実的よりも少しはロマンチストな方がいいんじゃない?」

顎に手を添え、自分を向かせるヴァンフェニーにガルシャアは爆発しそうな怒りを抑えた。素直に噛みついても、この姿では勝てないことが分かっているからだ。

「うぉいさっさと行くぞ!!あとヴァンフェニー、お前は俺が元に戻ったら覚えとけよ?」
「男の嫉妬は見苦しいよガルシャア」
「うるせぇぇぇぇぇぇぇえ…!!」

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