ダークシグナー編
□TURN-32
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ク「むかーし昔、とっても貧しい小さな島があったそうだ。小さな島の人々はその島から出る事を許されず、ただただ隣で大きな豊かな島を眺めるばかりだった」
「うんうん!」
「それってシティとサテライトの事だろ?」
「昔話でも何でもないぜ」
少年2人が言う。
「え?そうなの?」
ク「全く・・・お前らには女の子を気遣う“デリバリー”ってもんがないのかよ」
『クロウ、それを言うなら“デリカシー”でしょ』
咲羅はすかさずクロウに突っ込む。
ク「う゛っ・・・あ、ああ・・・そうとも言う・・・」
クロウの間違い発言に子供達が笑う。
ク「そうだ、この話はシティとサテライトの話だ。サテライトを解放しようとした伝説の男のな」
ラリーや雑賀も、みんながクロウの話を聞いている。
ク「お前達が生まれるずっと前、ちょうどこの場所から、シティを見つめ続けた男がいた。その男は見慣れないDホイールに乗って、ぶらりとこの町へやってきた。そして来る日も来る日も男はここに立ち、シティを眺めていた。だがある日それを止めた」
「どうして?」
ク「その男にはやるべき事が見つかったんだ。シティへと繋がる橋、ダイダロスブリッジを作るって仕事がな」
『じゃあこの橋は、元々あったモノじゃないって事?』
「でも完成しなかったんだろ?意味ねぇーじゃん」
「だいたい、できっこねーんだよ」
少年2人は呆れたように言う。
ク「最初はみんなそう思った。イカれた野郎だとバカにもした。だが、男は諦めなかった。初めのうちはバカにしていた連中もこの男ならやり遂げるかもしれない。みんなそう思いはじめたんだ。シティから来るゴミをリサイクルするだけの日々。明日の見えないサテライトの住人にとって、いつしかダイダロスブリッジは明日への架け橋・・・希望の架け橋となっていったんだ。だが、それをよしとしない連中が現れた。橋の工事は中止させられ、男はセキュリティのお尋ね者となった。誰もがやはりダメなんだと諦めた。おの男も捕まっておしまいだろうと」
ラ「セキュリティ許せねーー!!」
ラリーが勢いよく言った。