小説(復活)
□10年後の僕ら。
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これは10年後、雲雀と綱が恋人…な設定のお話。
「雲雀さんっもう、行っちゃうの?」
薄暗い部屋の中で悲しそうな表情をする綱。
天盤つきの大きなベッドでついさっきまで抱き合っていた二人だが、途中で大きなベッドから雲雀は降り、服装を整える。
「うん、仕事だから。バイバイ、綱吉」
雲雀はポンポンと綱の頭を叩くと、ネクタイをキュッとしめて部屋を出て行った。
この途中で終わる愛情と、バイバイと言う言葉はもう毎回の恒例となっていたけれど、いつになっても俺はこの『バイバイ』という言葉には慣れない。
カーテンを少し開け、窓からそっとバイクに乗っている雲雀を見つめ、雲雀と目が合えばにこやかに笑って手をふる。
これも恒例。だけど、作り笑い。本当は寂しくて泣きたいけど、我慢する。雲雀がまた帰ってくるのを信じてー。
コンコンとドアをノックする音が耳に届く。「どうぞ」と言うと、銀髪の彼が入ってきた。
「失礼します!!10代目!朝食の準備ができましたが、パンにしますか、ご飯にしますか…って10代目?」
部屋が薄暗いせいかよく見えないらしく、銀髪の彼は部屋の中の俺を手探りで探し始める。
「10代目、何処にいるんすかっ、て…うわっっ」
ガコッと何かにぶつかった音がした。見ると、彼はベッドの角にぶつかったらしい。綱はそれを見てクスッと笑い、カーテンを開ける。
薄暗かったこの部屋に光が差し込む。
「ここだよ、獄寺くん」
「うっ」
まぶしさをこらえ、銀髪の彼は窓の横に立つ綱を見つけると、綱に近寄った。
「10代目、またこんな薄暗い部屋で…目ぇ悪くしますよ。」
そう言ってそっと綱の頬に触れる。
「ん、もう慣れたよ。獄寺くん。…じゃなくて…骸」
自分の頬を触る獄寺の手を掴むと、綱はじっと獄寺の目を見る。そして「久しぶり」と言うと、獄寺の口がニッと動いた。
「ばれていましたか」
クフフ。と笑う獄寺の姿をした骸を見て、おもわずムッとする。
「憑依弾は禁止したはずだけど?」
「クフフ…憑依弾ではありませんよ」
「?」
不思議そうに首を傾げる。だって憑依弾でなくては憑依はできないはず。現に今骸は獄寺の姿でいる。
「お忘れですか。僕は霧の守護者ですよ」
「あ」と口を開け、が思い出したような顔をしていると、隙をつかれ、骸に深く口づけをされた。
「ふ…んんンっっ…っ…んっ」
長いキスが終わると、荒い呼吸を繰り返す。
「クフフ…どうでしたか。僕との久しぶりのキスの味は」
いきなりすぎて苦しかった為、涙目で骸を睨むしかし骸はそんな綱を強引に抱きよせた。
「只今帰りました。ボンゴレ」
「おかえり…今のは?」
「゙ただいま゙のキスです」
「なら普通にキスすればいいだろ!?」
不機嫌に服を着はじめるが骸に見られていて、何だか気が抜けない。雲雀がいない今、変態の骸に何されるかわかんないから。
「骸…?」
骸に目をやると、珍しくぼーとしているので声をかけた。
「骸、大丈夫。なんか今日具合悪い?」
「へっ平気です!それよりもう一度聞きますよ」
「何を?」
何を慌てるんだろ…。とりあえず話を聞いてみた。が、「今日の朝食ですよ!パンにしますか?ご飯にしますか?そ・れ・と・も僕にしますか!?」
聞いた俺がバカだった。