小説(復活)
□182769で竹取物語
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「さて、かぐや姫を返して頂きましょうか」
地面より3寸ほど離れ、中に浮く雲から槍を構え立つのはかぐや姫を迎えに来た骸大臣。
「いやっ…だ…ね。綱吉は…僕のだ」
一方、地面に這いつくばる無数の屍の中で、唯一意識がある男がいた。
骸はその男の言った言葉にピクリと反応すると、槍でその男のみを攻撃した。
グサリと音がし、着物から血が滲み出す。
「ゔあぁっっ…」
「クフフ…。」
苦しむ目の前の男が気絶したのを確認し、骸は嬉しそうに笑みを浮かべて家の門の方に向かって叫んだ。
「かぐや姫、そこにいるのはわかっています。出てこなければこの男の命はないですよ」
再び男に向かって槍をかざす素振りをみせる骸。
すると、門のほうから怯えた様子のかぐや姫が、ゆっくり歩いて来た。
「……良い子ですね…。」
骸を見上げるかぐや姫を優しくふわっと雲の上にあげ、強く抱きしめる。
しかしその強さはだんだん強くなり、爪が着物に食い込んでくると、かぐや姫は小さく悲鳴をあげた。
「あ…っ」
あまりに強く抱きしめられて抵抗できない中、続けて耳元で骸の色香の溢れる声が流れてくる。
「…真の名前をこの世界の人間に教えることは禁止のはずでしたよねぇ…?綱吉君」
真の名前を教えてしまうほど、そんなにこの男のことが気に入ったんですか?と骸は男を見下ろしながら、にっこり笑った。
抱きしめられている腕の間から綱吉も歯をくいしばりながら男を見る。
漆黒の髪がよく似合うー。大好きな彼ー。
「ひ…雲雀さんを殺さないで…下さい」
ガタガタ震えながら小さく彼の名を呟いた。それと同時に骸はそんな綱の願いとは裏腹に、意識のない雲雀に向かって勢いよく槍を降りおとす。
「お願いです!!何でもしますから!だからやめて下さい!!」
ガッ…
「あ…」
希望は叶わなかったと耳に響いた音とともに目をつむる。「雲雀さん…」と言葉を呟き骸の胸にギュッと顔を押し付けて涙を流す。
ひっく…ひっくと自分の胸で泣く綱吉の頭を骸は優しく撫で
「本当ですね?」
そう言うと綱吉を雲雀の方に向けさせた。
嫌々目を開けて見ると槍は雲雀に刺さっておらず、雲雀のそばの土に刺さっている。
「ひっばりさ…」
駆け寄ろうとするが、また抱きしめられて身体は動かすことはできず、綱吉は離して下さいと言わんばかりな顔で骸を見つめる。
しかし骸は離してはくれないまま、また耳元で小さくささやいた。
「なんでも言うこと聞くと言ったでしょう?」