仙人掌

□水を降り注いで 愛を降り注いで01
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頭がガンガンと痛むし、肌寒いどころではない寒気に襲われて目を覚ますと、辺りは一面、銀世界だった。


「へ…?」


夢、なのだろうか。

それとも暑さであたしの頭がイカレてしまったのか。



どちらにせよ、ここは冬で、さっきまで暑いと言っていたあたしの服装はこの気温には不似合いなもので。


…キャミソールとホットパンツでこんなところにいるなんて死にたいと思ってるようなもんだ。
太腿まであらわになっている足には当然の如く鳥肌がたっている。もちろん、それは腕もおなじようなもの。


「雪…冷たい…」

至極、当たり前なことなのだが、雪の上に寝ているあたしにとって肌を刺す雪の冷たさは尋常ではない。



「死ぬー…」

人間とは我侭な生き物だ。さっきまで冬に行きたいと言っていたのに寒くなるとすぐこれだ。


起き上がろうにも、頭の痛みは未だ続いていて体に力が入らない。


よってあたしは雪の上をうめき声を上げて転げまわるしかなかった。






しばらくあたしが雪の上でジタバタしていると、近くの藪から物音が聞こえて人が出てきた。


そしてあたしを怪しむような目で見るのだった。


(絶対怪しいやつだと思われたよ…)



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