波瀾万丈番外編
□お正月小噺
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お正月小噺〜ヒロインの家でのお正月
「「「「「あけましておめでとうございまーす」」」」」
皆でカウントダウンをした後に形式上の挨拶。
「あー、久しぶりだよね。家で年越ししたの。」
「は?どういうことだよ。」
あたしが言うと赤也が聞いてきた。
「だって、お正月はいつも旅行だったもん。今年はハワイの予定だったのに。」
「だーっ、これだから金持ちの子供は…」
「あんたももう金持ちの子供だから。」
横でぎゃあぎゃあ言ってる赤也を受け流していると、携帯にメールが届いた。
*
From 日吉
本文 あけましておめでとう。今年もよろしく。
*
…なんて言うか、凄い日吉らしい。
本当に必要最小限だな、おい。
…あれ?下にまだ何か書いてある。
スクロール、スクロール…
良かったら初詣一緒に行かないか?
さりげなっ!これ、あたしが気付かなかったらどうする気だったんだろ。
あたしはポチポチと返信する。
*
To 日吉
本文 ごめん、無理。
侑士先輩と行く約束してる。
*
日吉が必要最小限でメールしてるんだから、こちらもそうしなくては。と思い、簡潔な文を打っていくと、後ろから赤也が覗いてきた。
「は!?お前忍足なんかと初詣行くのかよ。」
「ちょ、覗かないでよ。」
「俺も行くからな!」
「は!?ふざけんじゃないわよ、なんで赤也を連れて行かないといけない訳?」
ぎゃあぎゃあ赤也と騒いでいると、玄関のチャイムが鳴った。
「あっ、侑士先輩来た。」
慌てて立ち上がり玄関に向かう。
「頑張ってね。」
郁里がにやけ顔で言ってきた。
「うっさい。」
*
ガチャ、と玄関のドアを開けると侑士先輩が立っていた。
「あけましておめでとう。」
侑士先輩が言ってきたので、あたしも慌てて返す。
「あっ、あけましておめでとうございますっ。」
「どないしたん、そないに慌てて。」
クスクスと笑い、あたしの頭を撫でながら侑士先輩は言う。
「いやぁ、ちょっと煩いヤツがいて…」「俺も行く!」「赤也は黙ってて!」
今年も皆元気です!