Ge×3

□SSS
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*ドラキュラ三世→黒鴉
(激しく片想い)

*鞭打ち表現あり

*血液注意












叫び声も呻き声漏らさず、
ただ橈る(シナる)鞭を受ける彼。
依然としてうなだれているが、
やはり降伏もしなければ降参もしない。

こちらが目を背けたくなるほどに、
その逞しい背は窶れ傷だらけで。
蚯蚓脹れが肌に、酷く痛々しい。

それなのに彼は、
彼を傷めつける私を睨みも、
見もしない。



『私など眼中に無い、か…!』



そんなやる瀬ない思いに、
また私は鞭を振り下ろす。

思いの外、強く。



「っ…ぐ、あ゙ああッッ!!」

「!」



しまった、力を入れすぎた。

そう思った頃に目を開けば、
垂れた血は赤く、皮膚の裂け目に垂れた。



「っ…」



私とてドラキュラの端くれだ。
血は、もちろん大好物。

ましてや恋したその人の体液が、
目の前で流れている。



『ああ、その滑らかな肌に…』



鞭ではなく私の歯を添えて、
その甘露に輝く赤い液を啜れたら。
人質ついでだと託けて飲み下せたなら。



『欲し、い…』



血が欲しい。

力が欲しい。

彼が欲しい。


彼を引き付ける力が欲しい。



しかし、私には彼の血を、心を、
求める勇気も権利も無い。



『ましてこの人の意識にされることも、』



思いを伝え全てを裏切り、
今すぐにふたりで逃げ出すことも…



「無理よ。」

「…ザンビア、か」

「それ以上何も出来ないわ。」



ほら気絶してるわよ、この鴉天狗。

後ろに立つ少女はつまらなそうな瞳で、
私の前に倒れた肉体を見下げる。



「ぐっ……、っう…」



浅い呼吸をしているが、
どうやら疲労と苦痛で
意識は貞かでないらしい。

いつも私を見ない瞳が二つ、
私をただ虚ろに映している。

今だけ、例え虚ろでも、
私を見る金の瞳が…



「…水を掛けて起こしましょうか?」

「いや、いい。もう…」



これ以上何をしても私は、
この人に何も出来やしないのだから。

憎まれることも、
愛されることも。

無力な私には、
何も無い。



「…つまらないわ。」

「……そう、か」


疲れた、私は休む。

今夜もまた半ば逃げるように、
私は地下牢屋を後にした。

ただ卑劣な敵として、
私はあの人の記憶に刻まれる。



『嗚呼罪悪感で死にそうだ。』



彼に恨まれたら、どうしよう。

…否、あの人の記憶の中に、
私が存在するかすら危うい。

貴方を殺せない私も、
自分を犠牲に出来ない私も、
何も為さないなら死ねばいいのに。



「しかしそれも叶わない、か…」



何も出来ない私が今夜出来るのは、
どうやらまた自己嫌悪だけのようだ。








眼に入れても痛くない



私は貴方の眼中にもないけれど、








*****************



ドラキュラ三世→→→黒鴉


カオス\^Q^/www

でもこのふたり、
実は面識あるらしいから…笑



御完読ありがとうございます!
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