Ge×3

□SSS
13ページ/17ページ









注意!蒼坊主→←黒鴉・特殊設定
蒼兄さんが妖怪界の裏切り者扱いになり
妖怪刑務所に幽閉されるという妄想前提で











〜一瞬だけ、命を下さい。〜








「なぁ…今は、いつなんだ?」



暗く寒いこの牢に幽閉された彼の
時間感覚は、他人を頼らずには
成り立たないものになっていた。

そのような感覚やら自由を
彼から奪い取ったのは私だが、
繰り返されるこの会話に、
時折胸が痛む。



「今日は4月の始めです。」



本来、外の世界で彼はもう
"亡き者"として扱われている。
それが世のためだ、と。

だからか会話をするのも、
互いに自然と小声で。



「そうか、もう4月か…」

「…えぇ」



一体、何百回目の?

そんな下世話なことを互いに
追求しなくなったのは、
一体いつからかだろうか。
…もう、随分昔に感じる。

鉄格子の内と外は、
ほんの少しの距離なのに
どうしてこんなに遠いのか。



「…なぁ、黒鴉。」

「…!」



反復のような日常を破く、
そんな予感を思わす声が
獄中に響いた。

嗚呼駄目だ。
これ以上話をすれば、
この人が刑罰を受ける。

"亡き者"は口をきくな、と。



「黙って下さい…刑罰が、」

「嫌だ、構うもんか。
こっちを向いてくれ。」

「…!」



捕まれた左手が硬直する。
緊張と、貴方の手の冷たさで。

貴方は私を恨んでいるはずだと
恐れて、私は背を向けていた。
何百、何千という年月を。



「お願いだ…!」



嗚呼振り返るんじゃなかった。

貴方はどうして、
そんな愛に澄んだ瞳で、
私を見つめるのか。

恨んで当然の、私を。



「何故…」

「一瞬でいい…」



俺を"亡き者"から
解放してくれ。

そう言って貴方は
かさついた唇を、
私の涙で潤した。





〜一瞬だけ、命を下さい。〜



変わらぬ愛を訴え、
その涙を拭うために。







*****************



スランプの最中の悪あがきです^^

よく蒼兄さんが反逆妖怪という案を
あちらこちらで見かけますが、
大変好物な私です(^q^)



御拝読ありがとうございます。
お帰りはBACKでお願いします^^




次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ