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□precious days 3
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「…ッ
フワーァッ」
ん…ここどこ?
一つあくびをして見渡すと…、明らかに俺の部屋じゃないよね。
とりあえずベッドから起き上がって傍にあった時計を見ると午前9時。
うん、俺にしては起きるの早いし、気分はちょーいい感じ。
ベッドには俺1人しか寝てなかったみたいで、部屋の持ち主はここにいないようだった。
ベッドルームからリビングに出てみると…いた。
タオルケットにくるまってソファーで丸くなってる金髪猫っ毛。
そうだ、思い出した。
確か俺、昨日スタジオのトイレで具合悪くして、トイレのベンチでへばってた所誰かに助けてもらったんだっけ?
思い出した、
アリスナインの将くんだ。
将くん・・・、って今更だけど確かヴォーカルの子だよね?
足音と自身の気配を消して将くんに近づいて、傍にしゃがんで顔を覗きこんでみたけど、全く起きる気配無し。
うーん、これは相当疲れて寝込んでる様子。
きゅううぅぅ、
これは明らかに腹の虫が鳴いた証拠。
俺と将くん、どっちの虫の仕業だ?と思って将くんのお腹に耳を近づけてみたら、きゅううぅ、さっきよりは控えめだけど間違いなく腹の虫が鳴いた音。
しかも音を発したのは将くんじゃなくて・・・、
、俺ですね。
がっくりうなだれてみたけど、よく考えたら仕方ないじゃん。
俺、昨日の夜から何も食べてないし。
「・・・、なんか食べたいなぁ」
思わず口からぽろっと零れた独り言。
ぶんぶん、勢いよく周りを見渡してみたけど、誰もいない。
人の家だから鍵も勝手に外出れないし、2人分作っとけば、台所とか借りても大丈夫だよね?
俺って料理作れない設定だけど、実は簡単なものくらいだったら作れるし。
米くらいあるだろ。
そう思って顔洗って簡単にメイクして、(なんたってヴィジュアル系ですから、って言いたいとこだけど、将くんを驚かすため)ご飯の支度をし始めた。