風ノ行方
□act.3
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「……やっぱり」
来たのはグリンコッツ銀行。
沢山の小鬼が忙しそうに駆け回っている。
実際に見てみると気持ち悪い…と言ってしまうと彼らに対して失礼かもしれないが。
「ミス.クロス!!置いていきますぞ」
「あわわっ、待って下さい(汗)」
こんな小鬼の山の中に置いていかれるなんてたまったもんじゃない。
「…ミス.クロス」
「はい?」
「この手はなんだね?」
この手とは、あたしの手の事。
スネイプ先生のローブをギュッと掴んでいるこの手。
だって駆け回っている小鬼に足元を掬われて流されてしまいそうなんだもん……
「はぐれないように…です。もしあたしとはぐれたらダンブルドアに怒られちゃいますよ?」
「……」
眉間に皺を深く刻んだスネイプ先生はそのまま再び前を向き、すたすたと歩き出した。
おとなしくなった、とニヤリと笑いローブを掴んだままスネイプ先生について(引きずられ?)歩いた。
そして小鬼に促され、二人でジェットコースターもどきに乗る。
なかなかの爽快感に、満悦していたが、スネイプ先生はこういったものは苦手なようだった。
「あの…大丈夫ですか?」
「……我輩に構うな」
ゲッソリとした顔をして、ポソリとつぶやいた。
また帰りも同じような目に合わせるかと思うと、少し不憫になった。
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