風ノ行方3
□act.9
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昼食後、再び再開された飛行訓練。
あたしのあまりにも酷過ぎる飛行テクニックに恐れをなしたらしいシリウスは、ちょっと遠くの物陰から、
「次は壁に突っ込むなよ!直すこっちの身にもなれ」
等と吼えている。
どうしてこんなに飛ぶのが下手なんだろうか…
前にリーマスに習った感覚を思い出しながら、ゆっくり地面から浮き上がる。
まずは安定させること…
飛ぶんじゃなくて、浮く。
「そうだ、いいぞ」
と褒めるシリウスは相変わらず遠くの方にいる。
バランスを崩したら終わりだ。
その時点で、箒が暴走してしまう。
集中を切らさないよう、箒のコントロールに気を詰める。
低い位置でフラフラとしながらも、なんとか定位置を保っていく。
「っ、はぁ…」
大きく息を吐きながら、地面へと着地する。
集中する為に、いつの間にか息を止めていたらしく、急激な脱力感にその場に倒れこむ。
「カリン!大丈夫か?」
「はぁ、はぁ…へい、き。はぁ〜〜〜…」
両手を大きく広げて、寝転んだまま大きく息を吸い込んでいく。
駆け寄ってきたシリウスも、あたしの様子を見て横に座った。
「どうも箒から嫌われる性質みたいだな。お前本当に魔女なのか?」
「知らないわよ;ダンブルドアが言うんだから魔女なんでしょうよ」
呆れた声を上げるシリウスに、さもめんどくさそうに返事をする。
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