風ノ行方3
□act.5
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9月1日
今日からまた新学期が始まる。
こっちへ戻ってきて気づいたのだが、あたしには休暇がなかったので、かなりがっかりした。
窓から外を覗けばシトシトと雨が降っている。
夜も更け、外は真っ暗。
そろそろ帰っていた生徒達が、ホグワーツへと戻ってくる頃だろう。
あたしはいそいそと身支度を整え、出迎えをする為に玄関ホールにいるであろうマクゴナガル先生の元へと急いだ。
階段を降りている頃から、ガヤガヤというざわめきを耳にする。
生徒達が戻ってきたのだろう。
あたしはつい早足になって、階段を駆け下りていく。
「あ!」
「「「カリン!!!」」」
降りきらないそこで、見知った3つの頭を見つけたあたしが軽く声をあげると、それらはあたしの方へと一斉に視線を送り、きれいにハモリながら名前を呼んだ。
「わーい、皆久しぶりっ!びしょびしょだねぇ〜特にロン!!」
「カリン!何をのんきなことを…!!」
階段の上からケタケタ笑って手を振るあたしに、ハーマイオニーが『信じられない』という顔をして、生徒の波を掻き分けながらこちらの方へと向かってくる。
彼女によって開かれた道を、後ろから男の子二人が通ってくる。
…お母さんだ;
「もうっ、心配かけないでちょうだい!!」
ガバッ
人ごみから飛び出してきたハーマイオニーは、そのままあたしに突進し、きつく抱きついてきた。
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