風ノ行方2
□act.8
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毎日頑張って勉強してきたおかげで、最近はようやく授業についていけるようになってきた。
今日も例外ではなく、授業中は黒板と先生の言葉に集中し、ノートをとっていた。
「では、本日の授業はこれにて終了。先程の課題は来週までに提出すること」
薬草学の教授がぱたりと教科書を閉じ、それだけ言い残すと教室を出て行った。
「うぃ〜〜…疲れた……」
大きく伸びをして、そのまま机に前のめりに倒れこむ。
「まったく、カリンってばおじさんみたいよ」
「ほっといてちょうだい。伸びをするときと、お湯に浸かったときはおっさんで結構」
両手を伸ばしてうつぶせ状態で埋めている顔はそのままに、左隣から声をかけてきたリリーに答える。
「あのさ、カリン」
次いで、右頭上からリリーとは違う声があたしの名前を呼んだ。
一体誰だと顔を顔をあげた。
「…ジェームズ」
「ち、ちょっといいかい?」
声の主は、ジェームズ・ポッター。
なんとなく言いづらそうな顔をして立っていた。
ちらりを左に目を泳がせれば、リリーも一体なんだと複雑そうな顔をしている。
「なに?」
「いや、ここじゃちょっと…」
もごもごと口を動かしているが、周りを見てはダメだというように首を振っている。
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