風ノ行方2
□act.5
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「あ〜間に合ったぁ」
あたし、リリー、ジェームズ、シリウスの4人は夕食抜きの危機をギリギリで回避した。
「ジェームズ!」
グリフィンドールの席で、一人の男子生徒が手をあげてジェームズの名を呼んだ。
鳶色のその髪には見覚えがあった。
「…っ……」
リーマス……
あたしがここへ来たのはほぼ満月に近い日だった。
つまり、ほんの最近までリーマスは叫びの館にいたのだろう。
「ごめんリーマス、待たせたね」
「いや、ピーターと話してたからさ」
ジェームズはリーマスの元へ向かうと、隣の席に腰を下ろした。
「君が療養中に、転入生が入ったんだ。カリン」
「っ…あ……う、うん」
ジェームズに呼ばれ、そしてリーマスがあたしの方を見た。
「………」
「カリン?どうかした?」
後ろからリリーがあたしの背中をポンと叩き、不思議そうに覗き込んでくる。
そして、そのままリーマスから見て左向かい、リーマスの正面に座る金髪の少年の横に座らされた。
「君がミス・クロス?僕はリーマス・ルーピン、よろしく」
「あ…よ、よろしく。ミスター・ルーピン」
大人の時にはあまり見せなかった、いたずらっぽい笑顔で微笑むリーマスのその顔…
鼻血出そうです……!!
「なんだぁ?カリン、いつもと違うじゃねぇか」
あたしの右隣に腰をかけたシリウスが、怪訝な顔をしている。
ガッ
思いっきりシリウスの足を踏みつけてやった。
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