風ノ行方2
□act.2
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チュンチュン
たとえ次元が違えども。
過去にタイムトリップしたとしても。
朝小鳥がチュンチュン言っているのは変わりないようだ。
ぼけっとしている頭をフルフルと振り、瞼を少しだけ擦る。
この世界に来て約一日経ったのだが、おかしな事が一つ。
あたしは手ぶらでここへ来た為、キャンディを舐めていなかった。
とっくのとんまに戻っているはずのあたしの体は、なぜか縮んだまま。
子供の姿のままだったのだ。
体が元の姿に戻らなかったので、あえて今のダンブルドア達に言う必要もないと思い、そのままベッドにもぐりこんだ。
そして、一夜明けた今こうして自分の手を眺めて簡単に分かる事は、やっぱり体が縮んだままだというこの現実。
昨日出会ったリリー達は、おそらく体の大きさから言っても、あたしより学年が上なのだろう。
「どうかしましたか?」
「あ…おはようございます」
そう。
昨夜は寮に部屋を取る事ができなかったので、マクゴナガル先生の部屋に泊めてもらっていたのだ。
「今日は朝食の前に、貴女の紹介を皆にしますので、ちゃんと準備しておいてくださいね」
「はぁ…あ、あたし何年生になるんですか?」
自分が一番気になっていることを問いかける。
というか、彼らは一体今の学年はいくつなのだろうか…
「そうですね、ここへ来る前の学年というのが一番なのですが、何せ校長は負い目からか貴女に甘い。好きな学年から好きに生活しろ、と言付かってますよ」
うわぉ。
ダンブルドアってばさすが!
寛大さは年齢が若くなっても変わらないってか。
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