風ノ行方
□act.17
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「……っ、ごめんなさいっあたし、何言って……」
慌てて手を離す。
でもその離れた手は、空中をさ迷う事なく、温かいものにぶつかった。
「っ…!先、生…」
気付いた時にはあたしの顔は、先生の腰の辺りにあった。
あたしの頭には先生の大きな手。
抱きしめられているわけじゃないけど、確実に引き寄せられている状況だ。
「…ごめん……」
「あの……」
「今そんな事言われると…本当に甘えてしまいたくなる」
その言葉を聞いた時、あたしの体は弾けるように勝手に動いていた。
「先生っ!いいじゃん、甘えて何が悪いのっ?貴方は一人でいすぎた……そろそろ人の温かさに包まれてもいいじゃない…」
まわした腕にキュッと力をこめる。
あたしがすがっているみたいに……
でもその腕はルーピン先生によって外された。
見上げてみれば、一筋涙を流している瞳とぶつかる。
「先、生「なんでカリンが泣いてるの…」
小さくくすりと笑われた。
手で頬を撫でてみれば、確かにあたしの瞳からも涙が流れていた。
「え…やだ……」
ゴシゴシとローブの袖で涙を拭う。
「こら、そんな乱暴にしないで」
ベッドに再び腰を降ろし、あたしと目線を合わせたルーピン先生は、大きな手であたしの涙を拭ってくれた。
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