風ノ行方
□act.10
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ハリーのお土産を買ってきてあげたことは褒めてあげよう。
なのに…
なんでそんなに楽しそうにホグズミードの話をするんだ。
ハニーデュークスだかゾンコだか知らないけれど、不本意にも行けなかったハリーの気持ちを考えてやることが出来ないのか。
ペラペラとよく開く口を閉じさせようと、ロンの頭を思いっきり殴ってやる。
「って〜!!何をするんだっ」
少し涙目になり、殴られた箇所を擦りながらロンがあたしを見る。
「貴方が悪いのよ。ペラペラペラペラ喋るその口にチャックをつけてやろうか?」
ロンを睨み付けて杖を突きつける。
その言葉に周りがドッと湧いた。
「貴方達もよ。少しはハリーの気持ちも考えなさい」
一瞬の沈黙。
『確かに』『そうだね…』
ボソボソと話しながら何人かが顔を見合わせた。
さすがはグリフィンドールの生徒達。
話を受け入れる『勇気』を十分に備えているようだ。
「それにしてもカリン、貴女体調は平気なの?」
ハーマイオニーが思い出したように、静けさを破り問いかけてきた。
「え?あ…あぁ、もうすっかり!」
ハーマイオニーに体調不良だと言っておいた事を忘れていたのだ。
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