風ノ行方
□act.8
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はぁ……
どうしてルーピン先生はあんなに素敵なんだろう。
って……
あたしすっかり恋する乙女じゃん。
原作を変えてやるって勢いできたっていうのに、恋なんてしてる場合じゃないよ。
「ミス.クロスっ!!」
「うわっ、はいっ!!!…え?」
突然大声で名前を呼ばれ、慌てて席を立つ。
「さて、今は一体なんの授業中かわかるかね?」
げ…
しまった。
今はスネイプ先生の授業中だった……
だって、あの淡々としたしゃべり方が眠気というか、妄想気を誘うんだもん。
「はい、すみません」
まわりのグリフィンドールの生徒達が引きつった顔をしてあたしを見ていた。
減点は免れられないだろう。
「……わかればよろしい」
「あ…え、はい…?」
「とっとと座りたまえ」
ざわっと教室中が一斉に沸いた。
減点どころか嫌味の一つもなかったのだ。
グリフィンドールの生徒も、スリザリンの生徒も目をぱちくりさせている。
「ちょっと、どういうこと?」
隣の席に座っていたハーマイオニーがコソっと耳打ちをしてくる。
どういうことと言われても……
「さぁ…?」
あたしスネイプ先生になんかしたっけか?
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