風ノ行方

□act.1
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ハリーポッターの完結編が日本でも発売された。

街を歩くあたしの耳に飛び込んできたそのニュース。


あぁ…ハリーポッターもついに最終巻なんだぁ。










見上げた空は暖かい風が流れていた―――――














風ノ行方...













ハリーポッターは映画では不死鳥の騎士団まで観たし、DVDも全部持っている。
でも原作はちらりとしか読んだ事がなかった。

俗に言う親世代の事等についてはしっかり読んでいたが、それ以外は映画でいいとしていた。
それが今になって原作という内容が少し気になっている。

けれど仕事やら色々忙しくて…そんな理由をつけてなんとなく読んでいなかった。


読んで見ようかな…
ふと目に入ったのはかなり古い古本屋。

…こんな骨董屋みたいな所に売っているだろうか。
とりあえず、とフラりと立ち寄る事にした。



分厚い古書が沢山並ぶ薄暗い店内には、古本独特のにおいが漂っていた。



「店を間違えたかぁ…」



早々に店を立ち去ろうと踵を返した。



「お嬢さん」

「え…?」


呼び止められ、振り向いたそこには店主だろうか、髭をはやした老人が立っていた。






「あの…?」


あたしの顔を見つめたまま何も言葉を発しないその老人に不信感を覚え、恐る恐る声をかけた。





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