キリリク部屋
□おまじない
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♡アリスsideです♡
「おねーさーん!!」
私は声をかけられて作業を止めた。
私を呼んだのは、帽子屋屋敷の門番の1人のダムね。
「あら、今日はディーと一緒じゃないのね。珍しい。」
私は思ったことを言っただけだったんだけど、何かまずかったのかしら。
ダムったらディーの名前を出したとたん、急に不機嫌な顔になっちゃったのよね。
「…おねえさん、ディーがいなくちゃイヤなの?僕じゃイヤなの??」
…………え??
な、何がどうなったらそうなるのかしら。
「そ、そんなことないわよ。ただ、いつも一緒にいるからどうしたのかな、って思っただけよ。」
本当のことを言ったんだけど、ダムの方はあいかわらずのむくれ顔。
何かあったのかしら…??
「ね、ねえ、ディーと何かあったの??」
さりげなくダムに聞いてみた。
「…ディーが…」
「ディーが??」
「…おねえさんは僕のことが好きなんだよなんて言うから…」
…は??
「ちょっと、ダム。あんた、ディーがそんなこと言ったから喧嘩したって言うの??」
「そんなことじゃないよ!!僕らにとっては一大事だよ!!」
…ディーったら、おちょくるのはホンット得意なのよね。
誰のせいだか判り切ったことなんだけど。
私の脳内には、目に毒そうな派手派手しいなんて表現では足りなさすぎるような悪趣味な帽子をかぶって笑っている男の姿が浮かんでいたわ。ああ、まったく嫌になるわ…。
「あのね、私はそんなこと一言も言ってないわよ??」
「でも、ディーは言ったって言ってたよ。」
そんな覚えは……あ。
「…ダム、あなた、つい最近ディーと入れ替わったでしょう??」
「え??なんでそんなこと知ってるの、おねえさん。」
…やっぱりだわ。
つまり、ディーがダムと入れ替わっている間に私のところへ来たってことね。