キリリク部屋
□愛してる、ただそれだけで
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「ねえユリウス、たまには外に買い物とか行きましょうよ。」
「…それは私に対するいやがらせか?」
いつもと変わらない会話。
アリスとユリウスは、一応恋人、という付き合いをしている。
アリスはユリウスと買い物に行きたいだけなのに(要はデートをしてみたい)、極端に人を嫌い、外に出るのも好まないユリウスはいつもその要求を拒否する。
「いいじゃない。たまには外に出ないと体に悪いわよ!!」
「日の光はたまには浴びているだろう。それだけで十分だ。」
「うー…」
いくら説得しても、ユリウスは頑として仕事から手を離す気はないらしい。
(それでも私はあきらめないわよ!!)
何が何でもあきらめたくないアリス。
「ユリウス、私たち恋人よね??」
「な、なんだ、いきなり。」
「恋人よね???」
「あ、ああ…。」
アリスの剣幕に押され、ユリウスは仕事の手を止める。
「じゃあ、どうしてデートの一つもしてくれないの??」
「どうして、と言われてもだな…。私だって仕事が忙しいんだ。それに、デートなんかに行かなくったって、私たちは一緒に暮らしているじゃないか。」
「うっ…。」
痛いところをつかれたアリスは、考える。
(もう、どうしてこんな正論ばっかり並べられるのよー…。これじゃあ、私に勝ち目がなくなっちゃうじゃない…。うーん……………。あ、そうだわ!!これだけは使いたくなかったけど、最終手段だもの。これで行くしかないわ!!)
何かをひらめいたアリスは、ユリウスに言い放った。
「わかったわ、もういいわよ。ユリウスがどうしても一緒に行ってくれないって言うなら、私、エースと出かけてくるわ!!」
ガタンッ
椅子が大きく動いた。
あまりの発言に、ユリウスが思わず立ち上がったからだ。
「な、何を言い出すんだ、アリス!!アイツと二人で出掛けるなんて、どれだけ身の危険をさらすことになると思っているんだ?!」
「だって、ユリウスは外に出たくないんでしょう??だったらエースと一緒に買い物に行くしかないじゃない。」
今度はユリウスが、アリスの的を射た発言に、言葉を詰まらせる。