gatto nero

□Luce
1ページ/1ページ



一歩踏み出せば水飛沫が立つような水溜りがあり



空は今にも雨が降りそうな曇天で



その雲の中で瞬間的に強い光が生まれ



そんな雲の隙間からは月の神秘的な光が届く



その光を遮るかの様に霧がかかっている…





この不思議な天気の中に一人の老人が傘を片手に佇んでいた


クシュンッ…


(…子供?)


老人は突然聞こえた小さなくしゃみに首をかしげる


(確かこっちの方から…)


聞こえた音だけを頼りに老人は細い路地に入って行く


「!!(男の子?
親に捨てられたのか……)」


老人は小さい体を自分自身で必死に抱きしめて震えている男の子を見付けた


(さっきの雨でこんなに濡れている…
取り合えずここは危険だから一度屋敷に連れて行こう)


こんなマフィアの巣のような場所に捨てた親に怒りを覚えながら老人はそっと男の子の肩に手を置いた


『!!』


大きく肩をびくつかせ男の子は顔を上げる


その子の顔から老人は何かを感じたのかほんの一瞬だけ驚いた顔をした


「大丈夫だよ。君を守ってあげる」


老人は優しい声で言うが男の子は目に涙を溜めて顔を左右に振り老人の手を振り払おうとしていた


(こんなに弱い力で必死に自分を守っていたのか…
少し強引だが許しておくれ……)


老人の指先からオレンジ色の炎が出て彼はそれをそっと男の子の額に当てた


男の子の瞼がゆっくりと落ちていった



「すまないな」


老人は男の子を抱きかかえゆっくりと歩き出した

















その子はボンゴレの宝

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ