白昼夢
□戯言日記
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<2008年9月25日の断片>
紅葉の葉は紅に染まり、木々は風に身をまかせ、大きく大きく揺れている。
「秋っていいよね」
(どうして……)
「そうだね。暑い教室に風が入ってくれると気持ちがいいからね」
(どうして……)
少女たちは笑顔で話をする。
風は日差しが強い教室へと雪崩れ込む。行き場をなくした風はどこへと旅立つのであろうか……。その風を、少女たちは、カーテンと戯れているかのように捉えたのだろう……。
木々は大きく揺れていた。いつの間にか広がる空一面の灰色の雲。
嗚呼――。彼女たちは知らない。
秋の風。それは誰にも届かない叫び声……。
「すごくいい風、吹いてるね」
(誰も悲鳴に気付かない……)