幻影曲
□時間が創り出したもの
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いつからだろう……。『俺』が自分のことを『僕』と呼ばなくなったのは……。遠い記憶は彼方に色あせて、残るのは温かい記憶。その中に『君』がいて……。
『時間が創り出したもの』
俺はずっと信じてた。変わらないものはあるのだと。でも現実はそう甘くはなくて、俺はそんな『今』をただ恨んだ。
あの素直だった『僕』はどこにいってしまったのだろうか。あの頃の俺は、色んな人のことを話したし、自分のことを聴いてもらった。君はただ『僕』の話を聞いて、笑ってそばにいてくれた。その時間は永遠そのものだったはずなのに、『俺』から距離をおいてしまった。
春も、夏も俺が知らない間にめぐりめぐっていつの間にか次の季節がやってくる。俺はただ『時』という流れに流されているのに気付くが、どうすることもできない。それが『日常』というものなのだから。