世界を繋ぐ扉
□移りゆくモノ
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雨が降っていた。
ザァザァ。と地面を抉るような強さで。
歴史の文明機によると今週はずっと雨のようだ。
私は酷く落胆した。
「こんな天気じゃやれるもんもやれないか」
そばに置いてあった四角い小さな箱に手を伸ばす。
『Marlboro』と箱には書いてあった。
「…もう無いか」
箱の中にあるはずのモノも無くなっていた。
依然として窓を雨が叩きつけている。
「あの、この箱はどうすれば…?」
「ん?あぁ、それは置いておけ……」
まったく、あまり物を動かされると面倒になる。
そういえば……
「あれからもう十年か」
「どうかしたんですか?」
「いや、何でもないコッチの話だ」
確か、引き出しの中に…あった。
古ぼけた、半分の写真。
ピースをしている少女。
少女の肩には手が置かれているが、その主が写っていない……
破りとられた所がそうなのだろうか。
「思い出したくない記憶、か」
私の机の上に置いてあるコーヒーはもう完全に冷めきっていた。
「わるいが、コーヒーを替えてくれるか?」
「……解りました」