幻影曲
□時間が創り出したもの
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はっきり言って子供同士の戯言だ。そんなにたいしたことではないと思う。
亮だってここまで引きずるとは思っていなかっただろうし、俺だって思ってもなかった。
幼心に傷付いた当時の痛みが未だに引き返すタイミングがお互い掴めないのだと思う。
「確かに……このままはまずいと思う……。でも、どうしようもないことだよ」
亮にそう言うと、お前がそう言うなら、と納得したようだった。
でもこのままでは彼女も俺もきっとわだかまりが残ったままではないだろうか。
それを思うと切なくなった。
時は永遠のように感じられたが、別れが近いのを実感すると急に焦りが出てきたのだ。ケンカ別れよりたちが悪い。だって仲が悪くなったわけでもないのに、急に口を聞かなくなってそれっきりなんだから……。
そんなことを考えているうちに、年が明けてしまった。