幻影曲

□時間が創り出したもの
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 ……そんなことも確かにあった。
亮とケンカばかりしてた頃のこと、俺は亮にこう言われた。『女と連んで、かっこわりぃ』俺も奴も幼かった。そこで俺はカチンとキレて、『ああ、わかったよ。これから女子全員口なんか聞くもんか』って約束したんだよな……。で、当然ながら、俺の女友達は減った。だが、一人だけ話しかけてくる奴がいたんだ。それが、桃城飛鳥だった。まあ、彼女は誰よりも活発で男友達も多かった。俺ともそんな感じの友達の一人だった。
 俺は考えてなかった。彼女の気持ちを。彼女が自分を押し殺してでも人を大切にするということも知っていた。きっと他の奴と関わらなくなってしまったのも、そいつらを気遣ったのだろう。
 高学年になると、昔離れていった友達は自然と話せるようになっていた。ただ桃城飛鳥だけは、関わりを持つことはなかった。

 
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