BANDIT

□steal.3
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「わあっ…」



赤、青、黄、緑…

雨で霞んだ視界に映る色とりどりの色彩にソラは声をあげた。



「流石、色彩の街『カルアート』だね。ホント、雨なのが残念。傘も面倒だし」

「まぁ、そのおかげでこんな街になれたんだけどな」



二人が来ているのは街の建物、道、その他全てが色鮮やかに染まっている色彩の街。
名前をカルアートと言う。

多くの名のある美術家達の出身地でもあり、美術館の数が街の誇りでもある。



「それにレンの言う通りだね。髪、隠さなくても大丈夫だ」

「だろ?」



街に着く直前ソラはレンにこう言われていた。



『ソラ、今回の街は髪隠さなくても大丈夫だと思う』

『へ?なんで?』

『行けば分かるさ』



その理由は人を見て判明した。


街に住む人々はこのくらいの雨に慣れているのか、傘を差す人の姿はあまりいない。
傘に遮られることのないその姿、特に若者は鮮やかな髪の色が際立っていた。
青や紫、ソラと同じような赤まで。
ソラの紅髪の方が鮮やかだが、それでもこの中ではそれほど目立ちそうになかった。



「皆、元からなの?」

「いや。染めてるらしい」

「そっかぁ…」



ソラはレンの方に向けていた目線を再び前に戻す。



「……自分からこんな色にしようとする人も、いるんだね」



ソラはぽつりと小さく呟いた。
傘で表情は見えなかったが、その言葉はまるでキズを隠すかのように、痛々しいものにレンには聞こえた。



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