BANDIT
□steal.2
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「すごい!!何あれ」
目的地までの道のりのこと。
突然、一歩後ろのソラが道端に生えている丸が連なったように生えている花を見て驚きの声をあげた。
道すがら耳にする何度目かの言葉にレンは微かに呆れた顔をしながら斜め後ろへ振り返る。
「あれはヒカリソウ。一定の温度を越えると生えなくて、夜になったら光るんだよ」
「光るの!?見てみたいなぁ…」
「…つーか、さっきからよく飽きないよな」
感激するソラを横目にレンは説明しつつぽつりと漏らす。
「全然飽きない。知らないことばかりで面白いの」
「そーですか」
「それにレンはすごいね。いろんなこと知ってるし」
「…まぁ、いろんなとこ行ってるしな」
そう言いながらレンはふい、と再び前を向いた。
ソラがレンについて来てからほんの数日しか経っていない。
そんな中でソラは一つ感じたことがあった。
それは…―
「ソラ」
「!!…はい!!」
不意にレンが振り返ったので、ソラは驚きつつ返事をした。
「…あれが、『ストクオン』だよ」
ちょうど街を見渡せる位置らしく、レンの目線に合わせるようにソラも前を向ける。
岩壁に囲まれるようにある広い空間の中に、住居であろう数多の家の朱色の屋根が風による土埃に少しだけ霞んで見える。
そんな小さな街がぽつんとあった。
土埃の中、街の遠方付近の岩壁に沿って存在する透き通った水色の巨大な何かは埋もれることもなく澄んで見えた。
「レン、あれが?」
「ああ…今回の目的『結晶の館』だな」
それは何かを護るかのように辺りを拒んでるかのように見えた。
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