あの日の夏

□真っ赤なトマトの実
1ページ/1ページ




そこには色でいっぱいの世界が広がってました。




「うっわー!!すっげー!!」



ケンのおじいさん、おばあさんの家に訪れて次の日の朝。
4人はケンのおじいさんと共に畑に来ていました。


「夏野菜のオンパレードって感じだね」

「どれも綺麗な色してるな」



トマト、ナス、ピーマン。
様々な野菜が収穫を待ってるかのように大きく育っています。



「…あちぃ…」

「ユースケそればっかじゃん」

「…そんなこと言われても…暑いもんは暑い」



すると、しゃがみこんでいるユースケの頭にパスッと麦わら帽子が降ってきました。


「…?」

「それを被っておれば少しは楽じゃろう、佑介」

声のする方を向くとそこにはケンのおじいさんの笑う姿。


「…どうも…」


そう言ってユースケは麦わら帽子を深く被り直しました。



「じぃちゃん。トマトすっげー赤いね!!」

「あ、ホントだ。美味しそうだな…」

「ダイ、なんかケンみたいなこと言ってるよ?」

「なんでそこで俺!?」

「…ごく自然なことだろ」



そんな4人のやりとりをおじいさんはハハハと笑いました。



「食べてみるか?大」

ほら、とトマトの一つをもいでダイに渡しました。


「あ、ありがとうございます」


ダイは受け取って、一口食べてみました。



「…!!…美味しい…!!え、すっごく美味しくてびっくりした」

「…ちょっとくれ」

「ユースケ、次こっちね」

「あ、俺も俺も!!」

「あ、ケンごめん。もうないや」

「早っ!?」





ケンが食べれないままトマトはあっという間に無くなりました。





「そこまで喜んでもらえると作りがいがあるってもんだ。ほら、さっさと収穫してしまわんと、ますます暑くなるぞ」

「「「「はい」」」」





4人はカゴ一杯に色とりどりの野菜を取りました。




「結構とれたね」

「なんかさー、じぃちゃんの畑…なんでもあるね」

「老いぼれは時間ばかりあるからの」



そう言っておじいさんはにっこりと笑いました。



「これどうしたらいいですか?」

「すまんが、ばあさんの所へ持ってとくれ。今日はそれを具にしてカレーを作ると言っとったぞ」

「お、夏野菜カレー」

「…ってことは…ナス…入る…よなー?」



どこかよそよそしいケンの言葉に3人は反応します。



「…ナスもうちょっと取ってこよ」

「手伝うよ」

「あ、俺も」

「え、何コレいじめ?」




ケンの反応に3人は笑いながら家の方に戻っていきました。





美味しそうなトマトの実。
それは真っ赤に熟れた夏の色。






.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ