あの日の夏

□花もようのサンダル
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4人は畑で取れた野菜をカゴ一杯に入れて、ケンのおじいさん、おばあさんの家に帰ってきました。



ガラガラッ



「ばあちゃーん。ただいまー!!」

「…あれ?あの靴、いや、サンダル?…あったっけ?」



玄関にカゴを下ろしながらダイが言いました。
玄関に女の子用と更に小さい子供用の花もようのサンダルがそろえてありました。




「…畑に行くときは…無かったけどな…」

「昨日着いた時も無かったよ」



次の瞬間…―




バタバタッ




足音がしたと思ったら出てきたのは髪を2つに結んだ5歳ぐらいの女の子。





「「「「…え?」」」」





4人は面食らったかのように固まりました。





「ケン…この子は?」

「え?…え?」

「ケンの生き別れた妹とか?」

「まさか」




4人(特にケン)が混乱していると更に奥からセミロングの髪の4人と同年代に見える少女がやってきました。



「あ、ケンじゃん。久しぶり」

「え?あ…百合?」




瞬きを繰り返しながらケンは言いました。




「百合?」

「俺の従姉妹だよー」

「じゃあ、こっちの子は?」


ダイは小さな女の子の方に目を向けました。


「うーん?」


ケンは首を捻ります。


「やだ。ケン、覚えてない?私の妹」

「あー!!あやめ!!?気づかなかったー」

「…気づくだろ…普通」

「数年ぶりなんだよ」


頬を膨らましながらケンは言いました。


「ケン…この人たちは?」

「俺の友達。えっとー…―」

「雪平輝和って言います」

「冠塚大です」

「…月沢佑介」



ケンを遮って3人は名前を言いました。




「あぁ、前にケンが言ってた友達。私は早倉百合。14歳です。こっちは妹のあやめで5歳」

「よろしくおねがいしますっ!!」


百合の紹介であやめはぺこりと頭を下げた。

そのまま勢いよく顔を上げたせいでぐらりと転けそうになりました。




「危ないっ!」




こける間一髪のところでダイが腕を伸ばしあやめを支えました。





「あやめっ!!…大さん、ごめんなさい、大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫。えっと、あやめちゃんは?怪我はない?」




あやめはダイの言葉に反応せずぼーっとしてます。




「あやめ、ありがとうございますは?」

「…さま」

「ん?なんて言った?」




あやめが小さく呟いた言葉にダイは聞き返します。





「かっこいーっ!!おにーちゃん、あやめの王子様っ!?」

「…はい?」




突然のことにダイは固まります。





「え…えっと…」





どうしようとダイはチラリと3人に助けを求めるように目線を向けます。




「ふーん…さすが王子サマ」

「かっこいいねー」

「え!?ダイ、王子だったの?」

「…予想通りの返答サンキュ」




ケンはともかく、ユースケとテルは明らかに棒読みで返ってきた言葉にダイはため息を吐きました。




夏休みは更に賑やかになりそうでした。





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