すろぅらぃふ

□その4 友情と彼女の優先順位
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近くの公園。



「で、どうなの−!!」

「あの…」

「…あのさ、別に俺は田口さんと付き合ってねぇから」

「え?そうなんだ」

「じゃあ、なんで一緒にいたんだよ−!!」


興味津々なケン、面白そうと思ってるテル、呆然と様子を見ているダイ。



「……田口さん…話してもいい?こいつらに」

「う、うん。ここまできたらしょうがないし」

「……ごめん」



ハァとまたユースケはため息を吐きました。



「…あのな…相談を受けてたんだよ」

「相談?」

「…ちょっとね、月沢君に聞いてもらいたいことが…ね…」



苦笑いしながら田口さんが言いました。



「…好きな人がいるんだってよ」

「それは分かったけど…なんでユースケに相談するんだ?役立つと思えないけど」

「……言うじゃねぇか、ダイ」

「あ、つい」



謝ってませんよ、ダイ。


「えっとね…それは−…私の好きな人が…」

「好きな人が?」



少し静かになりました。



「……もしかして……」

「………その好きな人が俺の兄貴なんだってよ」

「え?ユースケの兄貴って、啓汰兄ちゃんのこと−!?」

「…俺らと関わったなら啓兄しかねぇだろうな」



啓汰とはユースケの2番目の大学1年生の兄のことです。



「そっかぁ…啓汰さんも弓道部だったよな」

「うん、月沢先輩は優しくて、弓道してる時はすごくかっこいいんだ!!」

「田口さんは好きなのは啓汰さんか。うん、啓汰さんなら納得」



ニコッと笑顔でテルがなんか酷いことを言った気がしました。



「あ、あの、それで月沢君。先輩は…?」

「…あ−、うん。たまには弓道部に顔出せって言っとく」

「!!…ありがとう。
じゃあ、私塾があるから」

「…うん、頑張って」

「じゃあな−!!」




ペコッとお辞儀して田口さんは去っていきました。




そして残された4人。



「ねぇ、ユースケ。田口さんはユースケに何を相談したの?」

「…なんか、啓兄に会いたいけど、自分からじゃ言えないから…どうすればいいかって」

「だから、ユースケはさっきああ言ったんだな」

「でもさ…啓汰兄ちゃんって彼女いなかったっけ?」



小さな声でケンは言いました。
4人は何故か家族の人達よりそういうのに詳しいです。



「…いるよ。高1から付き合ってる」

「……田口さんは知ってるのかな?」

「………知ってた」

「……それでも好きなんだ」



なんとも言えない雰囲気がその場に流れた。



「…一緒に話せればいいって…」

「…………だぁ−!!!」



急にケンが叫びました。



「ケン!?」

「暗い雰囲気やめ!!これは田口さんがそう決めたんだからそれでいいんだろ!!」

「…うわ、無茶苦茶理論きた」

「でも…そうだね。それは田口さんの問題だから僕たちがどうこう言うことじゃないよね」

「そういうこと!!」


ニパッと笑ってケンは言いました。



「…じゃあ、こっちの話が終わったとこで…なんでお前らがいたのか説明してもらおか?」

「げ!!ユースケ忘れてなかったし!!」

「…忘れるわけねぇだろ」

「アハ、ユースケが怒ってる」

「…てか、あれだろ…ケンがバカなこと言い出してテルがのったんだろ?」

「ダイも共犯だ!!」

「は?俺?」



ギャアギャアと騒がしい時間がしばらく続きました。



「あのな、ユースケ!!もし、彼女が出来たらちゃんと俺たちに言うんだぞ!!」

「やだ」

「即答!?」

「…大体、なんで俺だけ?」

「あれじゃない?ユースケが一番モテるから」

「…意味わかんね………それに……」

「それに?」



ユースケはふと3人を見て止まりました。


「……やっぱいい」

「なんだよ−!!気になるじゃんか−!!」
ケンがまた叫びました。



こうやってバカやってんのも嫌いじゃないから。




なんて言ったら調子にのるに決まってるから…



絶対に言わないけど。





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