BANDIT
□steal.7
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「ソラさんの髪の色、珍しいですね」
リーフェと作業場に向かう最中、そんな何気ない言葉にソラは少し言葉を詰まらせる。
しばらく街などないと思っていたから、髪を隠していなかった結果、そのまま村に来てしまっていた。
「う…その…変、ですか?」
「いいえ、まさか!とっても綺麗な紅色だなぁって思って。この村にとって赤は特別だから」
「特別?」
「まぁ、それは後で説明するとして。それよりもですね!ソラさんとレンさんって歳はいくつなんですか?」
何故かやけに真剣な表情で尋ねてくるリーフェにソラは目を丸くしながら答える。
「え?えっと、17です。レンはその1個上…」
生まれてからずっとそばにいる人もおらず、記憶もないソラには正確な年齢は分からない。
だから、大体このくらいだろうと予想して年齢を答えていた。
言ってしまえば自称だ。
レンも同じような理由だと以前聞いた時にそう言っていた。
ソラの回答を聞いたリーフェに足が止まった。
つられるようにソラの足も止める。
「…17?ほんと?」
「? はい」
やはり17には見えないんだろうかと少し不安になっていると、リーフェの目がかっと開いてソラへ勢いよく歩み寄る。
あまりの勢いにソラは思わず驚いて少し仰け反る。
それでも近いリーフェの表情は明るく嬉しそうだ。
「私も!私も17なんです!」
「え、そうなんですか!?」
思いがけない共通点にソラも目を丸くする。
それにしてもリーフェはかなり嬉しそうだ。
そう思っているとリーフェは理由を教えてくれた。
「この村、私と同世代はいても全く同じ歳って子いないんです。もともと子供少ない村だし」
「そういえば、私もそうだったかも…」
旅に出る前にいた街では同じような年頃の子はいても、年齢が同じ子はいなかった。
だからと言って困るような状況はなかったし、寂しいわけでもなかったが、年齢が同じというだけで嬉しくなる気持ちもなんとなく分かる気がした。
「…あの!」
「は、はい」
「これも何かの縁だし、よかったら私と友達になってくれませんか?」
その申し出にソラは一瞬きょとんとした顔になった。
しかし、すぐにその言葉の意味を理解して表情が明るくなる。
「…いいんですか?」
「もちろん!私のことリーフェって呼んでください!敬語もなし!」
「じゃあ私のこともソラって呼んで?敬語もなしだよ」
お互いの言葉にくすくすと笑いあう。
するとリーフェが右手を差し出してきた。
「改めて…よろしくね。ソラ!」
明るい笑顔で告げられた言葉にソラも自然と笑顔になってその右手を握り返した。
「よろしく!リーフェ!」
握手を交わした後、新しく出来た友人と顔を見合わせてまたしばらく笑いあった。
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