あの日の夏
□小麦色した手をひく
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「あーつーいー!!もう歩けねぇー!!」
照りつける太陽が当たらずに陰になっている場所を見つけた途端、ケンはそう言ってその場にへなへなとしゃがみこみました。
「…………餓鬼か、お前は」
「だって、暑いじゃんか。俺、こっから出たら溶けて死ぬ!!」
「アハハ…冗談は顔だけにシテクダサイ」
「はい!?」
ケンとユースケは昼間の太陽がサンサンと照りつける中ダラダラと歩いていました。
「……ハァ……あの時2を選んどけば今頃クーラーの効いた部屋にいれたのにな…」
「無理無理。テルとダイはこういうときの運は強いんだから」
そう、今2人は…正確には4人はダイの家に集まっていたのでした。
そして、あみだくじでハズレを引いた2人が買い出しに出ているということです。
「暑い!!重い!!500mlペットボトル何気に重い!!」
「…うるせぇよ、ケン。ますます暑くなるだろ」
「…………イラついてます?ユースケさん」
「ご名答」
そして、しばらくお互いに無言の時間が続きます。
「…暑い」
ケンが力なく呟き、またしゃがみこみました。
「……あのなぁ…」
ユースケがため息をつきました。
「…暑いならさっさと帰った方がいいだろ?」
「分かってるー…暑いー」
「頭だけでなく全て5才児になりました?健斗さん」
「え?なんで5才児?」
動かないケンにユースケはもう一度ため息をつきました。
「……ケンって暑さ弱かったか?そんなに焼けてんに…」
「今日が異常何だよー!!」
このままじゃ、待ってる方が暑いです。
「…あー」
「うわっ!?」
ユースケは突然グイッとケンの手首を掴みました。
「ユースケ!?」
「俺は早く帰りてぇんだよ。いちいち構ってられるか」
「え?ちょ、痛い痛い痛い!!!ユースケ!!手首力いれすぎ!!」
「知るか」
「はいー!?」
ユースケは何度目かのため息をつき、
「…これでテルとダイに文句言われたらケン罰ゲームな」
「は!?!?わわ、分かった!!分かりました!!歩く!!自分で歩きます!!」
「いやいや、遠慮すんなよ」
「してないー!!というか、ユースケキャラ違っ!!」
そう言うケンの言葉をユースケは微かに笑って流しました。
昔から変わらない関係。
それが心地よくて。
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