あの日の夏

□空色が溶けこんだ海
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太陽が照りつける中、目の前に広がるのは青。





「スッゲー!!」

「バス停の目の前が海なんだねー」

「ここ降りたらすぐ海行けるよ」

「あち…」


自分たちの前ある景色に4人はそれぞれの感想を言いました。


「もー!!ユースケは他に言うことないのかよー!!」

「…正直な感想を述べましたけど?」

「だーかーらー!!景色の感想!!」

「ああ……はいはい、キレイキレイ」

「もー!!」



そうして、4人は砂浜に向かいました。
ここの海は人が少ない穴場とも言える場所なので辺りはとても静かでした。
ダイのとっておきの場所です。


「でも、よく知ってたね、ダイ。こんな場所」

「うん、去年ここら辺家族で来てさ、それで見つけたんだよ」

「…へぇ…」

「ナイス発見、ダイ!!」



海は穏やかにキラキラと光っていました。



「そういえばさ、なんで海って青いの?」



海を目の前にして、ケンは疑問を口に出しました。



「なんか…小さい子が親に聞くみたいな質問だね」

「そうかぁ?でもさ、気にならない?」

「まぁね。そういうことはテル先生に聞くのが一番だよ」

「なーるほど」


ケンは納得という風にポンッと手を叩き、テルの方を見ました。




「テルは知ってる?」

「うん」


ケンの質問にテルは微笑みながら応えました。



「海が青いのは水固有の色調なんだって」

「へぇ、そうなんだ」

「あ、あとね、青空の反射による影響もあるんだよ」



ケンは一瞬キョトンとしました。



「空を反射してるの?」

「そうだよ」

「そっかぁ…そっかぁ!!だから青いんだ!!」



ケンは嬉しそうに笑いました。



「………最初に言ったこと完全無視だな」

「ハハハ…まぁ、いいんじゃない?」



ユースケとダイが若干ツッコミました。



「じゃあ、空色が溶け込んでるからこんなに綺麗なんだね!!」

「空色?」

「うん、空の色!!」



そう言われてテルはもう一度目の前の海を見ました。
視界に映るのは鮮やかな青だけ。


「…うん…そうだ…そうだね」



そう言って笑いました。



空に似た澄みきった青はゆらゆらと穏やかに波打っていました。






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