BANDIT
□steal.5
1ページ/36ページ
とある街の人混みから外れた路地の一角。
そこには2人の人間がいた。
1人は白いコートを着た青年。
もう1人はフードを深く被っていて顔が見えなかった。
「へぇ…アイツが?」
コートの青年が意外そうに声を上げる。
相手が何か話すが、その声は青年にしか聞こえない声量だ。
「ちょっと信じ難いね…せっかくだし確かめてみようか」
楽しげな様子の青年に相手がまた何か話す。
「ああ、ちょうど仕事があるんだ…ありがとう、また頼むよ」
そう言って白いコートを翻しながら青年は歩き出す。
青年の口元は弧を描きながらも、その蒼い瞳は冷たく煌めいた。
.