小説

□隣のアイツ
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―その頃のトリコとサニー。



「…おいおいサニー、ココちゃんが拗ねちまったじゃねーか」

「知らねーし。ってかトリコのが拗ねてるんじゃね?」


むすっとした態度を見せるトリコ。
サニーはわざとそうなるような口振りだった。
浴室からシャワーの音が聞こえる。
いつもなら押し掛けるが…。


「サニーはココのこと好きか?」

「は・じゃなくて、も・だろ?」


知ってる。
お互いココのことが好きだと。
もちろん友情として、もしくは…


「恋愛感情アリか?」

「ぶっ!ちょ、あのなぁ、それはお前らだけだし!」


いつになく真顔で聞くと、腹を抱えて笑われた。
サニーの顔はいっつも美しさがどうだと言えるような顔ではなかった。
そんなに可笑しいことを言っただろうか?


「トリコとココがラブラブなのはオレでも見て分かるよ?」

「ら、ラブラブ?」

「見てるコッチまで胸キュンになるし?」


さすがに意味がわからない。
じゃあ何故ココの家まで来てこんなことを?
そう聞こうと口を開いた途端、視線を感じた。
この匂いは………ココ。


「楽しそうだね、二人とも」


少し寂しそうな、小さめの声。
その視線からはいろいろな感情がみられる。
やはり、「嫉妬」のようで。


「さーて、オレは邪魔かな。よかったな、トリコ。ココに嫉妬してもらってさ」

「ボクは嫉妬なんか…!」


いきなりサニーが帰る支度をし始めた。
特に何をするワケでもなく、オレたちを冷やかすだけ冷やかして帰るサニー。
結局何がしたかったんだ?


「…………」

「…………」


サニーが帰り、この家は二人だけになった。
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