小説

□おもいちがい
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「小松くんも、トリコが好き?」

「え!?えぇと……」

「な、何だよココ…」


トリコにはボクという恋人がいるのに。
今此処で成敗してやろうかなんて思った。


「トリコにとって小松くんは特別な存在なのか…?」

「ちょっとココさん、ボクはそんな気ないですよ!?」

「何だよココ。ヤキモチか?」

トリコはからかうような口調で言った。
ボクは本気なのに…。

少し怒鳴るようにボクは言った。

「そうだよ!ボクとじゃなくて小松くんとデートなんかして!」


ここが公共の場と言うのを忘れて叫んだ。
客の視線がボクらに集まる。

「ココココ、ココさん!?此処喫茶店ですよ!?」

小松くんが早口言葉みたいなことを言う。
でも、言葉にしてからでは遅いのだ。


「………勘違いしてねぇか?オレらはこれ見てただけだぞ?」

手渡されたのは、犬の図鑑。
…………犬?


「トリコさんが、ココさんがキッスを飼ってるみたいになにか動物が飼いたいそうなんですよ」

「じゃあさっきの好きって言ったのは…」

「犬ですよ?」

「シェルティとかかわいいよな!ハスキーもいいんだけどよ…小松が図鑑持ってるから、貸してくれるってよ」


犬。まさかの犬。
なんて早とちりをしてしまったんだ!
毒が溢れて止まらない。
というか恥ずかしいから毒に埋めつくされたい。

喫茶店がざわざわし始めた。
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