小説

□猛毒アルカロイド
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「…夾竹桃はね、低温で燃やしても煙が毒なんだって」

「どうしてそんなこと、」
言うんだ?と言う前にココと目が合い、睨まれた。


「どうして?どうしてだと思う?」

「あのなぁ……」

「フフ、ボクにも分からないんだ」


分からないとか言っている割には楽しそうに見える。

「全身毒だらけ、燃やされても有毒。素敵じゃないか」


何がだ。

なんて聞いたらまた睨まれるだろうから何も言わない。

ココはまた花を口に含む。

「ココ…」

「美味しくないよ。トリコにとっては猛毒なのに。ボクは全然平気なんだ」

「………」

「もしかしたら、毒なんてないんじゃないかな…?」

す、と夾竹桃の葉を差し出される。
ココは、オレを殺そうとしているように見えた。
それでも怖いとかの感情は生まれてこなくて。


「なぁココ。それ食ったらオレは死ぬと思うか?」

からかうように笑って言ってやると、ココはまたくすくす笑いながら首を横に振った。



「死なせないよ」


「はぁ?」


矛盾している。ココはたしかにオレを殺そうとしていた。


「トリコを殺してもいいのはボクだけなんだから」

「…んな物騒なこと笑っていうなよ!」


ココは少しつまらなさそうな態度をとって、夾竹桃を投げ捨てた。


「夾竹桃の花言葉は、」

「!」

ぐいっと胸ぐらを引っ張られ、ココの顔が近づく。



「(危険な恋、だってさ)」

そう耳元で囁かれた。




…本当、危険だな。


(なんで急にあんなことしたんだ?さすがにビビったんだけど)

(さぁ?好きだから?)

(疑問系かよ)



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