小説

□星に願いを
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今ボクの頭の中で葛藤、という言葉が動き回っている。

ボクはトリコが好き。
でも二人は同性。

近ごろは同性愛者も増えてきているとは聞くけど…
トリコはどうだろうか?
男同士でだなんて、気持ち悪がられてしまいそうだ。

「…コ?」

どうせなら気付くんじゃなかった。
どうせなら嫌われた方がマシなのかも知れない。
それなら、

「ココ!」

「!…なんだ、トリコか…」

「なんだ、じゃねぇよ。何考えてたんだ?」

「ううん、何でもないよ」

「そうか?ココ、考えすぎるとよく息止めてっから…」


よくそんなことに気付いたものだ。
たしかにボクは深く考えすぎると暫く息を止めてしまう癖がある。


「オレはてっきり何をお願いするのか考えてるのかと思った」

「お願い?」

「ああ、さっき流れ星見たんだ!3回言う前に消えちまったけどな」


トリコは欲が多いから3回じゃたりないだろう。


「流れ星なんかに願ったって、叶うものじゃないだろ?」

「いーんだよ。オレだって信じてるわけでもないし。でも、叶ったらいいなーってくらい」


そんなに簡単に叶ったら苦労はしない。
一瞬で消えてしまう流れ星が欲張りな願いなんて叶えてくれるだろうか。

「あ!まただ!えーっと、ガララワニの肉が食べたいガララワニの…ココぉー、無理」

「ボクに振らないでよ」


それにしても。


「(星に願いを、ね…)」


どうせ叶わないような願いも、ただ願うことならいくらでもできる。

「また!えっと、肉!肉!肉!…よし言えた!」

それはないかと。


ならボクは、星が嫌味を言ってきそうな願いをひとつだけ。




「(トリコがボクを好きになりますように)」
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