小説
□あいむはんぐりー
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「ボクはトリコがヒナじゃない方がいいな」
「何でだよ。ヒナの方がたくさん食わせてくれるのによ」
「だから困るんだよ。それに、………………」
トリコの「たくさん」がどれだけ多い事か。こっちの身がもたないだろう。
「それに、何なんだ?」
トリコは拗ねた顔のままココに聞く。
「…大人になったらもう食べさせてくれないんだぞ?」
「げ…そう、だよなぁ…」
しゅん、と落ち込んだり。本当に落ち着きがないと言うかなんというか。
コロコロ表情が変わるヤツだ。
そんな事をしている内に料理は出来上がった。
「おお!めし!!」
「(もう食べてるし…相変わらず品のない食べ方だな)」
うれしそうに食べているトリコを見ていると、そんなことはどうでもいい気がしてきた。
「(………それに)」
「んめぇ!ココぉ〜、おかわりくれ!」
「はいはい」
「(大人になったら、巣立ってしまうんだよ)」
親鳥(ボク)から離れてしまうんだよ。
一緒にいてほしい、なんて言えるわけがない。
離れてほしくない、なんて言えるわけがない。
→あとがき