小説
□WINNER
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あいつらと修行を始めて、もう半年も経った。
初めの頃はなんの協調性もなく互いに足を引っ張り合い、美しくない争いもした。
とある日の食事時はトリコがオレらの分をすべて平らげてしまったこともあり、ゼブラがキレて大暴れ。
それを見たココが呆れて二人に毒を放ち、脱水症状を起こして大騒ぎ。
とばっちりで何もしてないオレも怒られた。
理由は、止めなかったからだとか。意味わかんねーし。
こんな奴らと修行なんてやってられるかとか思ってたが、状況が状況なだけにどうしても協力せざるを得なかったりと、次第に打ち解けることが出来た。
今では仲間と呼んでやらないこともないといった感じだ。
いや、ライバルと呼ぶ方が合ってるな。
「サニー、ご飯の用意が出来たよ」
「ん、今行くー」
料理は当番制だ。
前までは勝負(捕った獲物の多さやレベルの高さ)で負けた奴が作ったりしていたが、それだと自分の食べたいものが作れないから話し合いでこうなった。
今日の当番はココ。
ココの料理は美味しいから気に入っている。
これでもっとコラーゲンたっぷりある食材ならなおよし。
「……座んねーの?」
不思議なことに、まだ三人は椅子に座っていなかった。
場所は特に決まっていないが…だいたいは来た順に座る。
最近、なぜかオレが一番に座る。
「(変な奴ら…)」
と、思いながら適当に座ると三人が急に動き出した。
そして、見事に三人ともオレの隣の席に手をついた。
「お二人さんよぉ…ここは普通空気読んでオレに譲れよなァ?」
「ゼブラには言われたくないね。そっちこそ自分の立場よく考えたら?」
「ココは昨日も此処だったじゃねぇか。たまには気分転換にあっち座ればよくね?」
三人とも笑顔で、自分の武器をちらつかせながら。
そんなにこの席はよかっただろうか。
おかわりがしやすいワケでもないし、風通しがいいワケでもない。
「―まえら何やってんだ?」
今にも殴り合いをしそうな彼らは動きを止め、目を合わせてこう言った。
「「「……美しさ勝負」」」
彼らには悪いが、全くもって美しくないと思う。