小説
□悪食満喫
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美食會、第6支部…。
新型のGTロボに乗る前に、あのおしり虫が足元をうろついているのに気が付いた。
「こいつぅぅ…チョロチョロ動きまくりやがってぇええ!!」
「キュキュキュ〜!」
食ってやるぅう!となんとも下品な声が辺りに響き渡る。
捕獲レベル1以下のくせにすばしっこく、捕まえるのが面倒臭い。
それでもコレは生で食うのが一番だ。
周りからは趣味が悪いとか言われるが、お前らはこのおしり虫の生の美味さが分からないからそんな事が言えるんだ。
「待てやごるぁあああっ!!!」
もう少しで捕まえられそうだったが、急に曲がり、部屋へと潜り込んでしまった。
ちくしょう、誰だよ部屋開けっ放しにしたヤツは!
そう心の中で毒づきながらニタリ、と笑う。
「馬鹿め…部屋に入っちまえばこっちのもんだ…へへ…」
ゆっくりと扉をくぐり、一気におしり虫めがけて飛び込んだ。
「捕まえっ、だあ゙!?」
おしり虫にはギリギリ手が届かず、頭を何かにぶつけてしまった。
部屋が明るい。ということは誰かがいる、ということか。
「ってえ……ちっくしょぉおお!誰だおま………」
思い切り睨みつけながら、ぶつかった相手を確認しようと顔を上げ、思わず固まってしまった。
「私に何か用か…?ベイ」
「ス……スタージュン……」
様、と最後の方はもう聞こえないくらい小さくなってしまった。
副料理長の、スタージュン。
この人の実力はとんでもないほど強力で、ゴツイ仮面がさらに威圧感を出している。
「いや…これは、その…」
「…またコレか。もっとマシなのを食ったらどうだ?」
スタージュンはおしり虫を右手で鷲掴みし、それをまじまじと見つめた。