小説
□隣のアイツ
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気に食わない気に食わない気に食わない!!!
何でアイツがボクん家にいるんだ!?
よりによってトリコが遊びに来てくれてる時に!
「ココ?さっきから何見つめてんの?あ、もしかしてオレに惚れちゃった?」
「別に、何もないよ」
見つめてるんじゃない、睨み付けてるんだ。
そう心の中でトリコの隣を陣取っているサニーに訴えかけてみる。
声に出した訳じゃないから聞こえることはない。
本当は言ってやりたい。
でも、トリコはサニーのこと気に入ってるみたいだし、ストレートに言うのは……。
「なぁ、何でサニーがココん家に?ってか久しぶりだよな!」
10回目のおかわりを終えたトリコが水をがぶ飲みしながらサニーに笑いかける。
ボクはあくまで笑顔でいるが、この時ばかりはうっかり毒が滲み出ていたようだ。
「ちょ、ココ毒出てるし!」
「うお!?溶けてる溶けてる!!」
…やってしまった。
感情が高ぶるとどうも押さえられなくなる。
これは……「嫉妬」?
自分ではそんなつもりはない。
出来ればサニーとも仲良くしたい、けど。
「シャワー浴びてくる…」
フラフラとした足取りで浴室に向かう。
この時二人が何て言ったのかはわからなかった。
いや、わからないんじゃない。
聞かなかったんだ。
楽しそうな二人の電磁波を感じながらボクは逃げるようにしてドアノブを捻った。