小説

□三時のおやつ
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今、ココん家から異臭がする。

たしか、アップルパイを作るとか言ってたハズなんだが…オレが知ってる限り、アップルパイはこんな匂い…いや、臭いではなかったかと思う。

なぜオレはココにお菓子を作らせてしまったのか。


「なぁココ「さぁ、後は焼き上がるのを待つだけだよ」」

「あのな「楽しみだね?」」

「まだ「すぐに焼き上がるから」」


黙ってろ、と言うような爽やか真っ黒100%スマイルを食らった。
こういう時はおとなしく引き下がったほうが身のためだ。
…今回は引き下がっても命の危険を感じるがな。

テーブルを挟んでココの前に座る。
ちら、と目を合わせてみると、にっこり…否、ニヤリと微笑まれた。
背筋が凍る。目を合わせてはいけないと脳がオレに命令を下した。


「(はぁ…やべぇな)」


ココの料理はうまい。
そこらの高級レストランと変わりないくらい美味しい。
ただし、デザートは別だ。
以前ココの腕を見込んでホットケーキを頼んだら、ホットケーキの形の悲しい産物がこの世に誕生した。
もちろんそれを涙ぐみながら完食したオレは、しばらく三途の川の向こうの花畑で彷徨っていた。





ピピッ、とオーブンの止まる音が耳に入る。
この音が地獄への扉が開かれるカウントダウンとなった。







「どうぞ召し上がれ?」


今、地獄への扉が開かれた。



ついでに魔界への道も開かれた。
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