小説
□ボクと約束を
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この年になったって、現実から目を逸らしたいことだってある。
認めたくないが、認めなくてはならないとき。
頼むから夢であってほしいとき。
………目の前には、「ココ」らしき人物がいる。
いや、名前を聞くとココだと答えたし、ココなのであろう。
だが。
「おにーちゃんはだあれ?」
「ほ、本当にココ…なのか?」
「うんっ!」
ココは、小さくなっていた。
見た目は3〜4歳で、声も女の子と間違えるくらい高い。
服はぶかぶかで、真っ裸に近かった。
「…本当にオレのこと知らないのか?」
オレの膝下あたりまでしかないココを抱き抱え、目の高さを合わせる。
軽いな、とか思っているとココがはしゃぎだした。
「たかい、たかいね!」
楽しそうに手を広げるココを見て少しにやけてしまった。
大人ココも十分可愛いけどこれはこれで…ってそんな場合じゃない。
今のココには、記憶がない。
自分のことは少し覚えているようだが、オレのことはまったくだ。
「オレはトリコだ」
「とり、こ?とりこおにーちゃん?」
「あぁそうだ…ってココのが年上なんだけどな…」
今はオレの方が大分年上か。
それにおにーちゃんって年でもない。
ココにはやっぱ呼び捨てに…
「とりこおにーちゃん、あそぼ?」
…訂正。
今だけおにーちゃんと呼んでくれ。